建物デザイン

「生活者の視点に立った、使いやすい建物であることはもちろんですが、常にまわりの環境とよい関係を築ける建築であるということを意識しています。」

 

「今回のプロジェクトは、蛇行する隅田川の突端という天与の価値を備えた立地特性により、二つの側面から建物を考えなければなりませんでした。ひとつは、その魅力である開放的な南向きの眺めと日当たりを最大限に生活シーンに取り入れること。もうひとつは、まわりの街に対して巨大なボリュームとなる建物を、いかに目立たせずに景観に溶け込ませていくかということ。さらに、そのことが隅田川の景観を維持していく上でのひとつの指針になればと考えました。」

 

設計者:堀啓二氏 談】

 

イニシア千住曙町:R棟

ランドスケープデザイン

「ランドスケープをデザインする上では常に、建物と屋外が有機的なつながりをもった、一体感のあるものとなるように意識しています。」

 

「今回のプロジェクトでは、敷地の広がりに対する建物の『高さ』が景観的には大きな特徴となります。そこで、西側の中庭である『グリーンシェードテラス』は、地面の広がりを維持しつつ立体感のある緑の空間をつくることをめざして、大きな樹木を中心とした『杜』をつくるデザインとしました。樹冠の下に広がる庭は、周囲の喧騒を離れて安心して過ごせる屋外空間であると同時に、樹々がフィルターのような役目を担い、忙しい生活の中で、通り抜けるだけでも息を抜いてリラックスできるスペースとしています。」

 

「樹木の変化は、草花のように華々しく目に入ってくるものではありません。しかし、永く暮らしてこそ感じられる、時間とともに変化する幹や枝葉の色合い、樹形の変容といった楽しみがあります。この場所での暮らしの記憶が、いつも緑の背景とともにあるようになれば、と願っています。」

 

【設計者:古内時子氏 談】

 

イニシア千住曙町:グリーンシェードテラス

照明デザイン

「24時間働き続ける現代の都市生活では照明が不可欠です。しかし、明るすぎる空間は身体を疲れさせます。すべての空間を明るくするだけでは解決できないものがあるのではないでしょうか。明るすぎず、暗すぎないこと。必要なときに必要な光をその場所に送り込むことが大切だと思います。

 

「今回のプロジェクトでは、隅田川や周辺の景観と溶け合うような建物の存在感を、自然時間に寄り添う照明計画によって、より効果的に演出しました。同時に、外観デザインとランドスケープをつなぐ照明デザインも意識。たとえば、庭園の水盤が映す光は、日中は自然の太陽光を受けて隅田川と連続するような揺らぎやきらめきをつくりだし、陽が落ちれば映り込む室内の明かりが建物に浮き上がるような軽やかな印象を与えられるように考えています。」

 

「壁に落ちる木々の影や水のきらめきは、自然の光を繊細に建物の印象に溶け込ませ、建物に新しい表情を与えてくれます。建物でありながら、自然な光の微妙な変化を映すスクリーンでもある空間を演出することが、照明計画のいちばんの狙いです。」

 

【設計者:本澤和雄氏 談】

 

イニシア千住曙町:アプローチ

イニシア千住曙町は2009年グッドデザイン賞を受賞いたしました。